「都市の緑化」は、2000年頃を起点として、本格的に推進されるようになりました。

主に、「景観的な緑化」が対象となっていましたが、近年では、徐々に緑化に対する意識が変化。「能動的な緑化(機能的な緑化)」が重視されつつあります。

生活環境の改善を目的とした、都市部の「緑化」

高度成長期の時代は、都市を拡大するためにと、常に新たな土地開発が行われていました。主な開発対象となるのが「山林」「丘陵地」ということもあり、多くの樹木(緑)が消失。緑地を減少させて来たのです。

「緑地の減少」に合わせて、「土」の割合も大きく低下。その結果、都市部にて、夏季節の深夜になっても気温が下がらない「熱帯夜」や通常環境よりも気温が高まってしまう「ヒートアイランド現象」などが発生、その悪影響が懸念されるようになりました。

また、都市部にて局所的豪雨(ゲリラ豪雨)が多発するようになると共に、地盤の舗装化(土の減少)によって、雨水排水能力が低下、「都市洪水(水害)」による被害が生じるようになっています。

一般的には、「異常気象」などとして、捉えられる(表現される)ことが多いのですが、実際には、上記に記したような「都市計画による影響(人為的な影響)」が都市部の自然災害を増す要因となっているものと考えています。

そんな状況を「課題」として捉えた時に、重要な要素となったのが「生活環境(都市環境)の改善」です。

生活環境(都市環境)の改善のための具体的な施策のひとつとして、重要視されたのが「都市部の緑化」なのです。

生活環境の改善に役立つ「緑化」の種類

生活環境の改善を目的とした「都市緑化」には、いくつか異なる役割を有した種類が存在しています。

「防風緑化」「景観緑化」「建築緑化」の大きく3つに分類することが出来ます。

防風林・防砂林:「ビル風」「潮風」の影響を(防ぐための緑化

都市緑化

昔から、「緑化」の重要な役割として存在していたのが、「防風緑化」です。

海沿いの地域などでは、「防風林」と呼ばれる緑地地帯が設けられているケースが多々見られます。これは、強い海風による「風」の影響や「潮」の影響を少なくするために設けられた緑地となっています。

都市部においても、「強いビル風」などの影響を緩和させるための緑化(街路樹、生垣など)が取り入れられるようになりました。

景観緑化:憩いの空間を創出するための緑化

街路樹

「景観緑化」と言うのは、その名の通り、景観の美しさや癒しの空間・環境を創出されるために、取り入れられている緑化です。

日本の多くの都市は、「グレー」「シルバー」「褐色系」の色彩にて街並みが形成されています。特に、「グレー」「シルバー」で構成された街景観では、「殺風景」「無機質」といった印象を感じやすいもの。

そんな印象を改善・緩和するために活用されているのが「景観緑化」です。

建築緑化:太陽熱の影響を防ぐための緑化

屋上緑化

都市部の「ヒートアイランド現象」の緩和及び住宅への太陽熱の影響(暑さ)を減少させる目的で、促進されているのが「建築緑化」です。

具体的には、建物の壁や屋根・屋上などを緑化させるもの。景観的な要素も含んだ内容となっています。

「緑化」を促すための施策。「緑化の法律・条令」の策定

冒頭でお話させていただいたように、本格的に「都市緑化」が進められるようになったのが、2000年頃です。各地の自治体にて、「緑化」の促進を促すための法律・条令が定められるようになったのです。

例えば、東京都では2001年4月より、『東京における自然の保護と回復に関する条例』が制定。

一定規模以上の建築物の新築や増築を行う場合に、敷地面積の一定割合以上の緑化が義務付けられるようになりました。

その後、東京都の施策を手本として、各自治体で同様の条例が定められるようになっていったのです。

実際、「緑化に関する条例」が施行されるようになったおかげで、飛躍的に都市緑化が促進されることとなりました。

現在では、「緑化の助成金制度」など様々な施策が盛り込まれるようになっており、特に「建築緑化」が取り入れやすい状況となっています。

都市部の建築緑化。能動的な緑化の促進

近年、都市部の「建築緑化」がさらなる発展を見せています。

従来は、単に「緑地の面積を増やす事」に主眼が置かれていました。「樹種の特性」などは、あまり考慮されることは無く、緑地を増やす事のみが促進されていましたので、「形骸的な建築緑化」が目立っていたものです。

近年では、「建築緑化」に対する考え方が進歩。「緑化による効果(機能性)」を意識した、「能動的な建築緑化」に重点が置かれるようになっています。

建築緑化には、「壁面緑化」と「屋上緑化」の2種類が存在。それぞれ、緑化による効果(機能性)を意識した取り組みが増加しています。

建物の壁面緑化。「景観」+「機能性」

壁面緑化

建物の「壁面緑化」に関しては、従来からの「景観的要素」も維持しつつ、「機能性」が考慮されるようになりました。

主に、太陽熱による「輻射熱」を軽減する役割(機能)を意識した壁面緑化が増えています。

建物(建築物)は、太陽熱を受けることで、外壁が熱せられます(外壁が熱を蓄積)。

その後、熱せられた外壁から、「外部」に向けて、熱が放出(輻射熱)されることによって、外気が熱せられることに。ヒートアイランド現象などを招くひとつの要因となるのです。

また、「建物内部」に向けて、熱が放出(輻射熱)されると室内の気温を上昇させることに。冷房効率の低下を招きます。

このような「輻射熱による影響」を削減・緩和させるための有効な手段となるのが「壁面緑化」なのです。

建物の屋上緑化。新たな緑化資材の開発による多様性の促進

屋上緑化

近年、特に目覚ましい進化を見せているのが「屋上緑化技術」です。

「屋上緑化」には、大きな技術的な課題及び法的課題が多数存在していました。そんな課題が時代の経過と共に解消されることによって、現在では、高い自由度を持った屋上緑化を行うことが可能となっています。

「法的課題」に関しては、屋上を緑化することに対して、制約となっていた要素を撤廃。同時に、「屋上緑化に対する様々な助成金制度」などが創出されるようになりました。

屋上緑化が手軽に行えるようになったのは、「技術的な課題の解決」が最も大きな要因となっています。もともと屋上緑化をする上では、「土の重さ」と「植物の根張り」が大きな課題となっていました。

ある程度、高さのある樹木を植えようとすると、「土の深さ」が必要となります。

土を沢山、屋上に盛ると、かなりの重量が建物に付加されることに。基本的に、屋上緑化による荷重を構造計算に盛り込んでいない建物が大半ですので、「土を沢山使用すること」が難しかったのです。

しかし、近年、屋上緑化用の「軽量土」が開発。屋上緑化のための素材が登場することで、技術的な課題のほとんどが解決されることとなりました。

現在、屋上の「農業利用」などが進められています。今後、屋上緑化は、生産性のある緑地へと進化していくのかもしれません。

「建築緑化」に対する人々の理解が大切なポイントに

「建築緑化」に関して、技術的な課題は、今後益々解決されていくものと思われます。「建築緑化」はさらに身近な存在となっていき、都市部の「緑」が増えていくのは、とても喜ばしいことですよね。

ただ、「建築緑化」の増加に伴って、新たな課題となりそうなのが、「人の意識」です。

都市部や住宅地の緑(植栽)が減少してきた要因のひとつとして、「枯れ葉の問題」「樹木に関連したご近所トラブル」といった要素があります。

今後「緑溢れる生活環境」が創出されていくためには、「人々の緑(植物)に対する意識」が成熟し、「緑に関するコンセンサス」が図られるようになっていく必要があります。

「緑(植物・自然)に対する寛容な心」を育てていくことも大切なポイントとなるものと考えています。

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