地震は恐れるべき現象なのか?!実際のデータで検証してみましょう。
地震を”怖い”と感じてしまう人は少なくないもの。特に、普段あまり地震の無い地域に住んでいる方ほど、地震に対する恐怖心を抱きやすいものです。
それは、地震活動の実態を良く理解出来ていないことがひとつの要因となっている・・そんなお話を先日、こちらの「何故、地震を”怖い”と思ってしまうのか?!」という記事の中で記させていただきました。
そこでは、主に、”心の作用”に関して話をさせていただきましたが、今回は、地震活動の実態を知っていただくことを通じて、地震活動は本当に恐れるべき自然現象なのか?を検証してみたいと思います。
2011年~現在(2017年)の地震活動データを検証。
地震の実態を知る上で、地震活動が実際に、引き起こした被害状況データを検証することが有効な手段となるもの。
案外、自然現象に関しては、各自がイメージしている姿と実際の状況が大きく乖離しているケースが少なくありませんからね。
ゆえに、地震活動がどの程度の被害を生じさせていたのかをまず、認識することが、地震の実態を知る上での第一歩となるものと考えました。
そこで、地震活動が大きく変動。日本において、明確に地震活動が活発となったと感じられた”2011年”を起点として、現在(2017年)までの地震活動と地震被害に関して、データをピックアップしてみたいと思います。
2011年~2017年。死者が発生した地震活動。
地震被害といっても、細かく言えば様々な要素が存在することとなります。ただ、「地震活動は命を失わせてしまう現象なのか?」を見極める上で言えば、”死者の有無”が被害の目安となるものと考えます。
そこで、まずは、2011年~現在(2017年)までに、一人でも死者が発生した地震活動をピックアップしたデータが下記となります。
・平成24年(2012年)12月7日 三陸沖 M7.3 死者 1人
・平成24年(2012年)3月14日 千葉県東方沖 M6.1 死者 1人
・平成23年(2011年)6月30日 長野県中部 M5.4 死者 1人
・平成23年(2011年)4月11日 福島県浜通り M7.0 死者 4人
・平成23年(2011年)4月7日 宮城県沖 M7.2 死者 4人
・平成23年(2011年)3月12日 長野県・新潟県境 M6.7 死者 3人
・平成23年(2011年)3月11日 三陸沖(東北太平洋沖地震) M9.0 死者 19,533
計8件の地震被害が存在していたことがわかります。
2011年3月11日に発生した、東北太平洋沖地震 M9.0は、大きな被害を生じさせた地震活動として記録に残っています。ただ、実体としては、”大津波”による被害が大きいもの。死者数の大半が津波被害によるものと推測されます。
大規模地震(M7以上)が発生したのにも関わらず、被害が無かったもの。
死者が発生した地震活動が”8件”存在していたことがわかりましたが、実は、2011年~現在(2017年)の期間中に、被害を生じさせていない大規模地震も存在しています。
ここでは、2011年~現在(2017年)の期間、”M7.0以上”の地震活動ながら、被害が無かったものをピックアップしてみたいと思います。
・平成27年(2015年)5月30日 小笠原諸島西方沖 M8.1
・平成26年(2014年)7月12日 福島県沖 M7.0
・平成25年(2013年)10月26日 福島県沖 M7.1
・平成23年(2011年) 3月 9日 三陸沖 M7.3
計5件の大規模地震が発生していました。いずれも、”死者0”となっています。
住宅倒壊(全壊)が生じた地震活動
地震活動に対して、”命の危機”を感じてしまうのは、「住宅倒壊が生じて、命を失ってしまうのでは」という思いがあるからですよね。おそらくは、外部空間(道や広場など)にいるときに大規模地震が来たとしても、瞬間的に怖さを感じても、命の危機はあまり感じることは無いものと思われます。
基本的に、建物内部にいるときに地震が発生すると、建物倒壊のイメージが膨らみ、命の危機を感じることに繋がるものです。
そこで、実際に地震活動によって、住宅倒壊がどの程度発生することがあるのか・・。まずは、死者が生じた地震において、住宅倒壊(全壊)がもたらされた地震活動をピックアップしてみました。
・平成23年(2011年)3月12日 長野県・新潟県境 M6.7 死者 3人 住家全壊72棟
・平成23年(2011年)3月11日 三陸沖(東北太平洋沖地震) M9.0 死者 19,533 住家全壊121,768棟
2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震の住宅倒壊被害が突出していますが・・。こちらも、その大半が”津波被害”によるものと推察されます。もしかしたら、地震活動による被害という意味では、限りなく”一桁”に近い可能性もあります。
いずれにしても、計3件。捉え方にも、いろいろあるかもしれませんが、かなり限られた地震活動のみが対象となっているように感じます。
住宅倒壊(全壊)が発生したものの、死者の無かった地震活動
住宅倒壊(全壊)が生じるようだと、死者は当然発生するもの・・と思ってしまいがちですが、実は、住宅倒壊被害が生じても、死者は発生していないという地震活動も存在しているのです。
そんな地震活動が下記となります。
・平成26年(2014年)11月22日 長野県北部 M6.7 住家全壊 77棟
・平成25年(2013年)4月13日 淡路島付近 M6.3 住家全壊 8棟
いかがですか?。実際には、住宅倒壊が発生したからといって、命が必ず失われるものではないということが、わかっていただけるのではないでしょうか。
検証1:大規模地震と死者数の関係性。
2011年~現在(2017年)までの間に、死者が発生した地震活動が”8件”存在していました。ただ、その中身をもう少し検証すると・・。「死者数 5名以下が6件」「死者数 10名以上(多数)が2件」となっています。
地震活動として自然現象は、局所的な出来事ではなく、わりと広範囲に生じる自然現象。
ですから、確かに”1名”であっても地震時に命を失ったという意味では、地震活動の影響と言えますが、被害状況を分析する上では、少なくとも”10名以上”の方が命を失うような状況があったときに、「命を失うわせる地震活動であった」と位置付けることが出来るのではないかと思っています。
そういう意味では、2011年~現在(2017年)の期間中に命を失わせる地震活動であったのは、「熊本地震」と「東北太平洋沖地震」の2件のみと捉えています。
そう考えると、現代の日本においては、大地震(M7.0以上)が発生したとしても、「命を失う可能性は低いもの」と言えるのではないでしょうかね。
*大規模地震(M7.0以上)にも関わらず命を失わせる力がなかったのが「8件」。
となっているからです。
検証2:住宅倒壊(全壊)と命を失う確率
大規模津波被害がメインであった、2011年3月11日の東北太平洋沖地震に関しては、津波被害と地震被害を分類することが出来ません。ですから、この地震活動に関しては、データ検証から除外した上で、住宅倒壊と命消失の関係性を考えてみたいと思います。
住宅倒壊が生じた地震活動が”5件”。それらの全壊した住宅数の合計が「8,846棟」となります。
そして、死者数の合計が「242名」。
これが、住宅倒壊した時の、命を失う確率(可能性)となります。たった”2.7%”なんですね。
ここで、認識しておきたいのは、「住宅が倒壊したからといって、そうそう命は失われるものではない」ということ。”2.7%”というのが、現在の日本における実態なのですから。
検証3:プレート型地震よりも内陸断層型地震に注意?!
ここからは、実際の地震活動と被害状況のデータを見た中で、感じた私の感想・私見となりますが・・。
確かに、海洋部での地震活動(プレート境界型地震)のほうが、内陸部での地震活動(内陸断層型地震)よりも、規模の大きな地震が発生しやすい傾向があります。
実際、2011年~現在(2017年)のデータを見ても、発生した大規模地震”10件”の内、海洋部で発生した地震が”8件”。内陸部で発生した地震が”2件”となっています。
しかし、海洋部で発生した大規模地震の大半が死者を生じさせてないもの。反対に数少ない”2件”の内陸断層型の大規模地震においては、それぞれ死者が発生しています。
また、”住宅倒壊”に関しては、さらに明らかで。分析が難しい、「東北太平洋沖地震」を除くと住宅倒壊(全壊)を生じさせた”5件”のすべてが内陸断層型地震となっています。
近年、プレート境界型の大規模地震(東海地震、南海地震など)がニュース・SNSにて話題となりますが、実際は、内陸断層型の大規模地震のほうが被害(命消失、建物倒壊共に)を生じさせやすいことがわかります。
海洋部での地震(プレート境界型)においては、地震活動による直接的な被害はあまり心配ないと言えるのではないでしょうか。注意が必要となるのが地震に関連して誘発される”津波”による被害なのです。
また、都市部においては、地震活動によって誘発される”火災”が大きな注意対象となるもの。
実際の地震活動ダーテから見ても、現代の日本において、地震活動(揺れ)そのもので、命を失う危険(確率)はかなり低いものと言えるのではないでしょうか。