昨夜(2017年6月13日)、イギリスのロンドンにて、27階建てのタワーマンションが火災によって大炎上しているというニュース(ニュース記事・写真はこちら)がありました。タワーマンション全体が炎に包まれている様子が動画などでも報じられています。

最新技術が駆使されているタワーマンションの弱点・課題とは?!

近年は、東京都心部・湾岸沿いだけでなく、周辺都市の主要駅周辺地域にて、多く建設されるようになったのが、”超高層マンション(タワーマンション)”です。2011年の東北太平洋地震時、主に湾岸地域にて、超高層マンションの地震に対する脆弱性(課題)が浮き彫りとなったことで、一時、建設も縮小し、購入する人も少なくなったのですが・・。

”のど元過ぎれば・・”ということわざ通りに、再び、市場が活性化することとなったようです。

地震の”揺れ”への対策は進む中、課題となっているのが”火災”です。

2011年東北太平洋沖地震をきっかけとして、さらに、推し進められるようになってきたのが「地震の揺れへの対策」です。地震の揺れに対する住宅構造的な対応策が「耐震」「免震」「制震」という3つの仕組み。

詳細は省きますが、もともとは超高層マンションにおいて、「耐震」「免震」が中心となっていたのですが、近年では、揺れに対して、最も積極的に揺れの影響力を無くす「制震」という仕組みを有した超高層マンションが多くなってきました。

そういう意味で近年の超高層マンションは”地震動”への対応は、十二分なものとなっているものと考えられます。ただし、以前として、存在している課題・大きな危険要素となっているのが「火災」。特に住戸内部から発生する火災が大きな災害へと繋がっていく可能性がある要素となっているのです。

今回、ロンドンで発生しているタワーマンション火災がまさに、その危険性・課題が具体的な形となって表れたものなんですね。

タワーマンションは、全焼の危険が大きな建物に。

火災炎(火災)は、基本的に上へ上へと移動していく特性があります。横方向へ転移スピードと比較して、縦(上)方向への転移スピードは比較にならないほど速いものなんですね。

同じ大規模マンションであっても、「横長形状の大規模マンション」と「タワーマンション」では、内部火災に対して、大きく異なる2つの要素があるのです。そのひとつが「炎の移転範囲」の違いなのです。

”横長形状の大規模マンション”の場合は、ある一室で火災が発生して、火災が広がってしまったとしても、すべての住戸が消失してしまうというケースは、あまり無いものです。それは、炎が横方向へと転移する力が、縦方向と比較すると弱いから。大抵の場合、過半以上の住戸消失とはなりにくいものです。

対して、”タワー型マンション”の場合は、火災が広がってしまうと、一気に上層階へと炎が転移がしてしまいます。その転移スピードは状況にもよりますが、思いの外早いもの。低層部で火災が発生した時の方が、より早くマンション全体が炎に包まれることとなるのです。

通常の火災ではありませんが、ニューヨークで起きた旅客機によるデロ事件(311)のご記憶のある方も多いものと思います。あの時、旅客機は、ビルの上層部に衝突・炎上したのですが、その後、炎の広がりは早く、最終的には、超高層ビル自体が倒壊(崩壊)することとなりました。

そう・・タワー型マンションなどの建物は、火災が広がってしまうと、建物全体の構造自体が保てなくなり、全崩壊してしまう可能性があるのです。これが”横長形状の大規模マンション”だと、全崩壊とはなりにくいんですね。

タワーマンションは、避難経路も遮断される可能性が?!

もうひとつの要素が「避難経路の課題」です。”横長形状の大規模マンション”の場合は、基本的に、同じ階が長い廊下で繋がっています。先ほど、お話したように炎は横方向への転移スピード(マンション外部において)は、相対的に早くないもの。火災の広がりに気付くのが遅れたとしても、十分、廊下を通じて、横方向へと避難することが出来ます。

対して、”タワーマンション”においては、ひとつの階にて、空間的に横の広がりはあまりありません。横方向への避難は出来ないケースが多いものです。縦方向(階段を通じての避難)への避難しか選択肢がないんですね。

しかも、一般の大規模マンションの場合は、”外部階段”となっているのがほとんどなのに対して、タワーマンションの場合は、大半が”内部階段”となっています。火災状況によっては、逆に、内部階段が、煙や炎の通り道となってしまうケースも考えられるということ。(もちろん、そうならないような、仕組みは備えられていますが、絶対的なものではありませんので。)そうなると、避難自体が困難となる可能性が生じるわけです。



大規模地震に付随した火災の場合、建物機能が喪失している可能性も。

タワーマンションにおいては、スプリンクラー設備など、火災に対して、積極的な消火設備なども備えられています。ただ、認識しておいていただきたいのが、それらはあくまで、”通常の火災”の対策設備であるということ。大規模地震が発生したことにより、誘発された火災(地震火災)時には、機能しない可能性があるのです。

一般的なスプリンクラー設備は、水道管(給水管)に接続されている設備。大規模地震によって、水道管自体が損傷したり、給水するためのポンプ設備が壊れてしまえば、スプリンクラー設備も十分機能を果たせない可能性があるわけです。

階段空間を煙や炎から隔離(守る)ための、各種仕組み(防火防炎扉など)も地震によって、歪みが生じて、作動しない可能性も十分あります。そうなると、階段は、煙や炎の通り道となり、最も危険な場所(空間)となることに。これらの状況は、けして、それほど可能性が低い要素というわけではないと私は思っています。